日曜日。
 
 この前の約束通り、私はスザク君の家に来ていた。
 ということは、隣にはルルがいるのだ。そう思うだけで、体温急上昇。
 頬が熱くなって、緊張で体が固まるけど、胸が心地よく高鳴る。
 
 「うふ、そんな緊張なさらなくても」
 
 優しげに笑うのは、スザク君のお姉さんのユーフェミアさんだ。
 薄桃色の長い髪をしていて、薄い紫色の瞳が少しルルに似ている。
 
 「ホントだよ。別にそんな久し振りじゃないだろ?」
 「そ、そりゃそうだけど…っ。」
 「まあ気持ちは分からなくもないけど」
 
 小さな卓袱台をはさんで真正面にスザク君は座っている。男の子らしく胡坐をかいて、大きな緑色の瞳でおかしそうに私を見ていた。
 スザク君は言動こそ男の子! という感じだが、容姿はそうでもない。
 ふわふわの茶色い髪は何だか庇護欲をそそられる。運動はできるけど、見るからに華奢な体。
 可愛い。
 
 「何、シャーリー。僕のこと見てて楽しい?」
 「ううん、全然」
 「っ?! ひどっ」
 
 普通にショックを受けて猫のアーサーに泣きつくスザク君だけど、アーサーは冷たい。
 昼寝の邪魔をするなとでも言いたげにスザク君の指にかぶりついている。
 
 だって、可愛いんだもん。
 性格だっていいし、それでルルの事が好きで、隣で住んでるんだもん。
 ずるいよ。
 
 ちょっとその茶色い髪を睨みつけたとき、きいっとドアが開いた。
 
 「あれ、もう来てたのか」
 「あ、ルルーシュ。いらっしゃい。」
 「「…!!」」
 
 ぱあっとスザク君と同時に顔をあげる。
 前に会ったときよりも髪が伸びたからか、少し大人っぽく見えるルルは何よりも輝いて見えた。
 
 「久し振りだな、シャーリー」
 「うっ、うん! 久し振り!」
 
 座りながら言ってくれるルルに何度もうなずく。
 その様子を、スザク君はちょっとムスっとした顔で見ていた。
 くすくすとそれを見てユーフェミアさんが笑う。
 
 「ユフィ、笑わないでよ」
 「だって、」
 「……? どうして笑っているんだ、ユフィ」
 「だまれ童貞のくせにっ」
 「…お前、スザクよく言えるなぁ人の事」
 
 ルルの顔が悪っぽく彩られる。
 
 「うるさいよ。僕はいいんだ。僕はルルーシュみたいに知識をいっぱい持ってないからね」
 「はっ。それはどういう意味だスザク。俺が耳年増だとでも?」
 「ていうかエロ魔人?」
 「いい度胸だ。そんなに弄り倒してほしいか」
 「えっ」
 
 一瞬ぱあっとスザク君の顔が明るくなる。
 だけど口では絶対お前は勝てない、と続けるルルーシュに唇を尖らせた。
 
 ああ…なんだか、仲、良いなぁ。
 凄く仲良いな。
 スザク君がルルの事好きじゃなかったら、それだけで済んだのに。
 
 「シャーリー? どうしたんだ、黙って」
 「あ、ううん、ごめんね! 違うの。」
 
 ルルが心配そうに顔を覗き込んでくれる。
 大丈夫、と言おうとした時。
 
 ピンポーン・・
 
 「あら、誰かしら」
 「ナナリーかもな。シャーリーに会いたがっていたから」
 「一緒にくればよかったのに」
 「いや、今日は登校日だからいなかったんだ。そろそろ帰ってくるころかなって」
 
 言ってる間にユーフェミアさんが「はーい」と可愛らしく声をあげて扉を開ける。
 と。
 
 「こんにちは! スザクの将来の相手。ジノ・ヴァイン…」
 「何で君がいるんだぁーーー!!!!!」