どうしよう。
さっっっぱり意味が分からない。
僕はいま、予備校で授業を受けていた。
もう僕は高校三年生で、来年にはもう大学生になる。
だから、勉強に励んでいるんだけど。
「…うっ」
分からなすぎて、ちょっと泣けてくる。
ダメだこんなとこで泣くわけにはいかないっ!
「……どうしたの?」
「ふぇ?」
「何かあったの?」
囁き声で話しかけてきたのは、隣の人だった。
どうやら泣きそうな声が聞こえてしまったらしい。
今の情けない顔を合わせるわけにはいかないので、僕は教科書に目を向けたまま「大丈夫」とできるだけ普通の声で言った。
「そうかな?」
「……ひっ」
「ほらやっぱり…ってヤバい…」
両頬に手を添えられて、顔を思いっきり真正面からみられる。
同じく僕も彼の顔を見ることになって、その整いすぎた顔に不覚ながら見惚れてしまった。
するとなぜか彼の顔が赤に染まり、はっと我に帰った。
と、同時。
「先生、早退します☆」
「……お前ら、見られてないと思ってたのか…?」
「ひぃっ」
「やめてください先生、ほらスザク泣かないで」
「泣いてな…っ」
「はいはーい」
子供みたいに頭を撫でられて、そしたらなぜか涙も止まらない。
すれば目を大きな手で隠されて、教室の外に連れていかれた。
…あったかい。
これが出会いだったのです。